停電の影響と復旧までのプロセス
地震や雷、台風などの災害によってマンションが停電することがあります。
停電は、エレベーターやエアコン、通信機器が停止し、住民の生活に大きな影響を及ぼすため、事前の準備が大切です。
また、停電時には安全確保も重要になってきます。
そのため、停電になったとして、そのときに何が起こるのか知っておきましょう。
停電の影響とは?
停電が発生すると、マンション内で次のような影響が生じる可能性があります。
- エレベーターが停止し、高層階の住民は移動が難しくなる。
- エアコンや暖房が使用できなくなり、室温が不快になる。
- インターネットや電話、テレビが使用できなくなる。
- 水道やトイレが使えない
停電したら最初にしておくこと
停電時は状況確認が大切です。
停電の範囲を確認する
停電した場合、停電範囲を確認します。窓から外を見て、近所や街灯など周囲を確認しましょう。
停電が自宅のみの場合、ブレーカーをチェックします。
自宅以外でも停電していたら
近所でも停電していたら、住んでいる地域の電力会社のホームページから停電情報を確認しましょう。
停電直後は情報が掲載されていない場合があるので、30分ほど時間を置いて確認してください。
このような場合は自然災害などによって、電力会社の設備が故障していることが原因です。
地域一帯が停電している場合は、電力会社による復旧を待つしかありません。
自宅のみの停電
周囲は停電しておらず、自宅のみで停電している場合は分電盤を確認します。
アンペアブレーカー、安全ブレーカー、漏電ブレーカーのうち、いずれかが落ちているかもしれません。
アンペアブレーカーが落ちている場合は、電気ポットや電子レンジ、ドライヤーなど消費電力の高い電化製品を同時に使用したのが原因です。
使う電化製品を減らしましょう。
一部の部屋や機器が使えなくなっている場合は安全ブレーカーが原因です。部屋や機器ごとに安全ブレーカーが分かれており、使える電力量が決まっています。
住宅全体で問題なくても、安全ブレーカーの規定量を超えてしまうとブレーカーが落ちてしまうので、こちらも使う電化製品を減らしましょう。
漏電ブレーカーが落ちている場合は、住宅のどこかで漏電が起きています。電化製品の損傷、ブレーカーの故障、雨漏りなどが原因です。
漏電している箇所を確認する方法は、すべてブレーカーを落とし、アンペアブレーカーと漏電ブレーカーを上げます。
そこから、安全ブレーカーを一つずつ上げていきますが、その際、漏電ブレーカーが落ちた場所が漏電しています。
漏電は電化製品から起こっている可能性があるので、電源プラグを抜いて、問題がないか確認しましょう。電化製品に問題があれば修理に出すか買い換えます。
電気配線に問題があれば、業者へ依頼し点検・修理の対応を受けてください。
停電時の過ごし方
停電はすぐに復旧する場合もありますが、1日以上かかる場合もあります。復旧が長引いた場合を想定しておきましょう。
スマートフォンの電池
スマートフォンは連絡や情報収集で必要なアイテムです。バッテリーの残量に注意し、必要な時に使用するようにしましょう。
停電が長引くことを想定し、低電力モードにしたり、明るさを暗くしたり、Wi-Fi・Bluetooth・GPSをOFFしたりして、電池が長持ちする設定にします。
ちょっとだけでもと使っていると、電池はすぐに減ってしまうので避けてください。
停電時の水道とトイレの利用方法
停電時において、水道やトイレの利用方法について知っておくことは重要です。水道やトイレが使用できない状況になる可能性もあるため、対策を講じておくことが大切です。
水道の利用方法
停電時に水道が使用できない場合に備えて以下の点に注意しましょう。
- 水道が流れなくなる前に、浴槽などに十分な水を貯めておく。
- タンクレスのトイレの場合、水が流れなくなるため、停電時の対処法を知っておく。
- 飲料水や生活用水を備蓄しておく。
トイレの利用方法
停電時に対応できるトイレは、タイプによって異なります。
水洗トイレ
停電時でも一般的なトイレであれば電力に頼っていないため、断水にならなければ流せます。
タンクに貯まっている水を押し出す仕組みです。
ただし、電力を使った水洗トイレもあるので確認しておきましょう。
タンクレストイレ
便器の背後にタンクが設置されていないタンクレストイレは、電磁弁を利用して水を流す仕組みのため、停電になると動かなくなります。
停電の場合、タンクレストイレのサイドカバーを開き、レバーやつまみ、ハンドルを操作し水を流しましょう。
メーカーによって操作方法が異なるので、事前に確認しておきます。
エアーハンマー現象に注意
停電による断水の場合、エアーハンマー現象には要注意です。
エアーハンマー現象とは、下水管に貯まった空気が、何らかの弾みで噴出する現象です。
最悪、給水管などが破損する場合があります。
そのため、停電による断水時、水を流す前にエアー抜きを行いましょう。
エアー抜きの方法は、トイレと同じ給水管につながっている洗面所やキッチンなどの蛇口を開けて空気が抜けるようにします。
電気錠・自動開閉玄関は非常用のカギが必要
電気錠・自動開閉玄関は停電時に備えて、手動での開け閉めが可能です。ただし、非常用のカギが必要になるので、すぐに使えるようにしておきましょう。
暑さ・寒さ対策
停電中は、冷暖房が使えなくなります。夏に停電した場合、熱中症対策を忘れずに。
台風によって窓を開けられないこともあるので、こまめに水分補給し、濡らしたタオルを首に巻くなどして体温を下げることで熱中症を防げます。
冬に停電した場合、重ね着をして、首や手首、足首を冷やさないようにして、対策しましょう。
停電によって起こりやすい事故
停電中や復旧後、停電が原因の事故や二次災害が起こることがあります。
通電火災
停電からの復旧後、再通電時に出火することを通電火災といいます。地震などで倒れてしまった電化製品から火災に繋がる場合や、損傷した配線コードがショートし、出火するケースがあります。
電化製品は停電時にはコンセントから電源プラグを抜くようにしましょう。
また、自宅から離れる場合は、ブレーカーを落としておいてください。
ろうそく火災
停電中、ろうそくを使う場合は注意が必要です。ろうそくを倒してしまうと火災が発生する可能性が高まります。
できるだけ懐中電灯やLEDランタンなど、熱を生まない照明器具を用意しておきましょう。
ろうそくはなるべく使わないようにしてください。
一酸化炭素中毒
ガソリンやカセットボンベを使う発電機を室内で使ってはいけません。発電機の排気ガスには一酸化炭素が含まれており、一酸化炭素中毒になる恐れがあります。
軽度の一酸化炭素中毒では、頭痛、吐き気、目まいなどが起こり、重度になると多くの場合死に至ります。
非常用備品の活用
停電時に備えて、非常用の備品やアイテムを準備することで、安心して過ごすことができます。
以下に停電への備えとしておすすめの非常用アイテムをご紹介します。
ライトや懐中電灯
停電時には照明が必要です。LEDライトや懐中電灯を用意しておくことで、夜間でも安全に移動できます。LEDライトは省エネルギーで長時間の使用が可能です。
飲料水と食料
停電時には水道が流れなくなる可能性があるため、飲料水を備蓄しておきましょう。また、レトルト食品や缶詰などの非常食の備蓄も考慮しておくと良いです。
モバイルバッテリー・ポータブル電源
スマートフォンや携帯電話の充電が切れると、情報の受け取りや連絡が困難になります。モバイルバッテリーを用意して、通信手段を確保しましょう。
ポータブル電源はスマートフォンだけではなく、照明や一部家電で利用できる持ち運び可能な蓄電池です。
容量も大きく長時間使用可能で、発電機のようにガソリンやガスなどの燃料が必要ありません。
ポータブル電源はあらかじめ充電しておく必要があるため、こまめに充電量を確認しておきましょう。
ラジオ
停電中にはラジオが役立ちます。最新の情報を得るために、電池式のラジオを用意しておくことをおすすめします。
簡易トイレ・携帯トイレ
大規模な災害によって停電した場合、自宅のトイレが使えなくなる恐れがあります。
停電に備えて、防災用トイレを常備しておくといいでしょう。
クーラーボックス
停電時に冷蔵庫の開け閉めすると、保冷効果が弱まり、中の食材が傷みやすくなります。
そのため、停電時は冷蔵庫・冷凍庫を開けないようにしましょう。
停電になったら必要になりそうな飲食物はクーラーボックスに移しておくのがおすすめです。
車のガソリンは満タンに
車を持っている場合、日ごろからガソリンは満タンにしておくと安心です。
移動手段としてだけではなく、電力源にも使えるためです。インバーターを使用することで、スマートフォンの充電も可能になります。
車載のラジオやテレビから情報も得られます。
必需品のリスト
停電時に必要なアイテムをリストアップしておくことで、準備がスムーズに行えます。家族全員分の必需品を考え、備蓄リストを作成しましょう。
家族での確認と連絡方法
家族間で停電時の対応や連絡方法を確認しておくことが大切です。安否確認や緊急時の連絡手段を事前に決めておきましょう。
停電時には自分と家族の安全と快適な過ごし方を考え、適切な非常用備品を備えておくことが大切です。地域の停電対策にも合わせて備えを整えましょう。
電力が復旧したら
電力が復旧しましたら、ブレーカーを上げる前に電気製品の状態を確認します。
高いところから落下したり、水没したりしていないか、故障していないか確認しましょう。
問題なさそうであれば、電源プラグを差し込み、動作に問題がないか一つひとつ見ていきます。
特に冷蔵庫は早めに見ておきましょう。タイマーのついた家電はリセットされている場合が多いため、設定しなおします。