80年代を思わせる、銀座「奥野ビル」

銀座の奥野ビルとは

東京都内には個性的で魅力のあるマンションがたくさんあります。
そんなマンションの一つが銀座にある奥野ビルです。
こちらのビルは1932年に建てられた本館と1934年に建てられた新館からなり、かつては高級アパートとして銀座界隈で有名でした。

現在はギャラリーが入店しており、アートビルとなっています。
手動式エレベーターがあり、外観や内装は当時のものをキープしているため、歴史的にも価値のある建物です。
かつての高級デザイナーズマンションの様子を観察することができるでしょう。

日本の住居ビルの中では初めてエレベーターが設置されたアパートです。
当時の日本人みんなが憧れていた住居であり、選ばれた人達のみが住むことを許された場所でした。

奥野ビルの特徴

奥野ビルは川元良一が設計しました。
床はモザイクタイルとなっており、鮮やかな色が印象的です。
最寄り駅は有楽町線の銀座一丁目駅であり、駅から徒歩1分のところにあります。

奥野ビルが建てられる前には工場が立地していました。
しかし、関東大震災が起きて工場が消失したことから、大地震が起きても問題のないビルを建てようと考えて、奥野ビルが誕生しました。
頑丈な構造となっており、今でも問題なく建っています。

昭和初期の趣が残されており、現代ではモダンなデザインという印象を与えます。
照明や階段の手すりなど細かい部分のデザインに凝っていて、とても美しいです。
奥野ビルの中に入れば、まるで当時にタイムスリップしたような感覚となり、不思議な気持ちになるでしょう。

奥野ビルが竣工したすぐ後に306号室に入居したのは須田芳子さんです。
306号室を利用してスダ美容室を開きました。
美容室を閉業した後もずっと306号室に住み続けて、2008年に100歳で残念ながら亡くなられました。

現在は306号室を維持しようという活動が行われています。
銀座奥野ビル三○六号室プロジェクトとして、さまざまな企画が進められています。

それでは奥野ビルには現在どのようなショップやギャラリーが入居しているのかを紹介しましょう。
まず、101号室にはアンティーク&デザインルームが入居しています。
508号室にはアトリエ&ショールームが入っています。

4階にはギャラリー邨があり、絵画や工芸、彫刻などさまざまな芸術品が展示されています。
1階にはアンティークショップがあり、美術工芸品やアンティークドール、室内装飾品などを扱っています。

このように奥野ビルはとても充実した場所となっており、観光スポットとして人気があります。
銀座にお越しの際はぜひとも立ち寄ってみましょう。
日本のアパートやマンションの歴史を垣間見ることができます。

マンションとは単に人が生活するだけではなく、建物そのもののデザインにも価値があるということが実感できるでしょう。
奥野ビルの魅力を満喫してください。